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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

『小野の雪』 伊勢物語 わかりやすい現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
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伊勢物語『小野の雪』

このテキストでは、平安時代初期に書かれた伊勢物語第八十三段、「小野の雪」(昔、水無瀬に通ひ給ひし惟喬親王、例の狩りしにおはします供に〜)の現代語訳・口語訳とその解説をしています。作者は不明ですが、在原業平がモデルと言われ、この節では、馬の頭が在原業平ではないかとされています。

また、惟喬親王は実在した人物で、天皇の第1後継者だったのですが後ろ盾が弱かったために、天皇になることができなかった人物です。出家して雪の多くふる土地に引っ越したというのは、このような失意があったからかもしれません。

原文

昔、水無瀬に通ひ給ひし惟喬親王(これかみのみこ)、例の狩りしにおはします供に、 馬の頭なる翁つかうまつれり。日ごろ経て、に帰り給うけり。 御送りして、とく往(い)なむと思ふに、大御酒賜ひ、禄賜はむとて、つかはさざりけり。 この馬の頭、心もとながりて、

枕とて草ひき結ぶこともせじ 秋の夜とだに頼まれなくに


と詠みける。時は三月のつごもりなりけり。親王、大殿ごもらで明かし給うてけり。
かくしつつまうでつかうまつりけるを、思ひのほかに、御髪下ろして給うてけり。 正月に拝み奉らむとて、小野にまうでたるに、比叡の山のふもとなれば、雪いと高し。 強ひて御室にまうでて拝み奉るに、つれづれといともの悲しくておはしましければ、 やや久しく候ひて、いにしへのことなど思ひ出で聞こえけり。 さても候ひしがなと思へど、公事どもありければ、え候はで、夕暮れに帰るとて、

忘れては夢かとぞ思ふ思ひきや雪踏み分けて君を見むとは


とてなむ泣く泣く来にける。

現代語訳

昔、水無瀬の離宮にお通いなさった惟喬親王が、いつものように狩りをしにおいでになる供に、 馬の頭である翁が、惟喬親王にお仕え申し上げた。何日か経って、御殿にお帰りになった。馬の頭は、惟喬親王を家までお見送りして、さぁ帰ろうと思ったところ、惟喬親王はお酒や褒美をくださろうとして、行かせてくださらなかった。この馬の頭は(早く帰りたく)じれったく思い

枕にするといって、草を結ぶわけにはいきません(※1)。秋のように長い夜を期待するわけにはいきませんので(※2)。

※1「草を結んで枕にする」とは道端で寝ることを指す。
※2この歌が詠まれたのは春のことなので、秋のように長い夜ではないことを言っている。
要するに、夜も早く更けてしまうので早く帰らせてくださいというのを遠まわしに言っている

と詠みました。3月の末の頃のことでしたが、惟喬親王はおやすみにならないで夜を明かしなさってしまいました。
馬の頭はこのようにお側にお使え申し上げていたのですが、意外なことに、惟喬親王は髪をそって出家してしまわれました。馬の頭が正月に惟喬親王にお会いしに行こうと、小野という土地に参上したところ、小野は比叡山のふもとの町だったので、雪が大変高く積もっていました。無理をして惟喬親王の元にお顔を合わせに参上したところ、惟喬親王は手持ち無沙汰にとても悲しそうなご様子でいらっしゃったので、少しの間その場所に留まり、昔のことなどを思い出し申し上げた。(馬の頭は)そのままお側にお仕えし申し上げたいとは思うのですが、朝廷でのお勤めがあったので、とてもお側にいることはできずに、夕暮れには帰ることになりましたので、

現実をふと忘れて、現状が夢なのではないかと思います。雪を踏み分けてこのようなところにあなた様にお会いしに来るとは思いもしませんでした。


と詠んで、泣く泣く帰っていきました。

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『教科書 国語総合』 桐原書店
『教科書 探求国語総合』 桐原書店
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店

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