新規登録 ログイン

9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

『花盗人の歌(家隆卿の子息の禅師隆尊といひし人~)』 沙石集 わかりやすい現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
Text_level_1
マイリストに追加
はじめに

ここでは沙石集の一節「花盗人の歌」の現代語訳と文法解説を行っています。

原文

家隆卿の子息の禅師隆尊といひし人、坂東ここかしこ修行しけるが、ある所の地頭の家の前栽の桜の花を、 一枝折りて逃げけるを、主見つけて

「あの法師捕へよ。盗人にこそ。」


とて、ことごとしく ののしりければ、冠者ばら追はへて搦(から)めてけり。禅師、不祥にあひてせんかたなかりければ、

「殿に、かく申し給へ。」


とて、

白波の名をば立つとも吉野川花ゆゑ沈む身をば恨みじ


使者、しかしかと言へば、

「縄をばなつけそ。ただ具して来たれ。」


とて、さまざまにもてなしかしづきて、歌なんど学問しけるとぞ。

現代語訳

藤原家隆の息子で隆尊というお坊さんがいて、彼は坂東(関東地方)のあちらこちらで修行をしていました。この隆尊、とある土地で、地頭の家の庭先にあった桜の花を一枝折って逃げたのですが、逃げた隆尊を家の主が見つけて、

「あの坊主を捕らえろ!泥棒だ」


と大げさに騒いだので、その家の召使たちが追いかけて捕まえてしまいました。隆尊は、まずいことになってしまい、なすべき方法もなかったので、

「旦那さんにこのように伝えてください。」


と言って(歌を詠みました。)

白波のたつ吉野川の花が美しいので、おぼれてしまっても恨みはしません

(※白波は盗賊や泥棒を指す言葉で、ここでは川にたつ白波と泥棒という意味の白波をかけています。「白波と(泥棒)いう評判がたってしまっても、花が美しくてやったことなので恨みはしません」と言いたかったのでしょう。)

使いの者はこのことを家の主に伝えると

「そのお方を縄でしばるな。ただつれて来い」


と言って、(隆尊を)いろいろともてなして大切に扱い、歌などの学問を隆尊から教えてもらったということです。

次ページ:単語・文法の解説

1ページへ戻る
前のページを読む
1/2
次のページを読む

Related_title
もっと見る 


Keyword_title

Reference_title
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店
『教科書 国語総合』 桐原書店

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 11,099 pt 
 役に立った数 3 pt 
 う〜ん数 2 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。