新規登録 ログイン

9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

伊勢物語『東下り・三河』(昔、男ありけり〜)のわかりやすい現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
Text_level_1
マイリストに追加
伊勢物語『東下り・三河』

このテキストでは、平安時代初期に書かれた伊勢物語の9段「東下り」の「昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして〜」から始まる部分の現代語訳と解説をしています。作者は未詳ですが、在原業平がモデルではないかと言われています。

※参照:駿河編「行き行きて、駿河の国にいたりぬ〜」

※参照:すみだ河編「なほ行き行きて、武蔵の国と〜」

原文(本文)

昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、東の方に住むべき国求めにとて行きけり。もとより友とする人、ひとりふたりして、行きけり。道知れる人もなく惑ひ行きけり。

三河の国、八橋といふ所にいたりぬ。そこを八橋といひけるは、水ゆく河の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ、八橋といひける。その沢のほとりの木の陰に下りて、(※1)餉(かれいひ)食ひけり。その沢に、(※2)かきつばたいとおもしろく咲きたり。それをて、ある人のいはく

「かきつばたといふ五文字を、句の上に据ゑて、旅の心を詠め


といひければよめる。

(※3)ら衣 つつなれにし ましあれば るばるきぬる をしぞ思ふ

歌の解説


と詠めりければ、みな人、餉の上に涙落として、ほとびにけり。

※つづき:駿河編「行き行きて、駿河の国にいたりぬ〜」

現代語訳

昔、男がいました。その男は、わが身を必要のない者と思い込んで、京にはおるまい、東の方で住むのに適した国を探しに(行こう)と思って出かけました。以前から友人としている人、一人二人と一緒に出かけました。(一行には東国への)道を知っている者はいなく、迷いながら行ったのでした。

(ほどなくして)三河の国の八橋というところに行き着きました。そこを八橋といったのは、水が流れる川が八方に分岐しているので、橋を八つ渡してあることに基いて、八橋といったのでした。(一行は)その沢のほとりの木の陰に(馬から)下りて座り、乾飯(米を乾燥させたもの)を食べました。その沢には、かきつばたがたいそう素晴らしく咲いていました。それを見て、(一行の中の)ある人が言うことには、

「かきつばたという5文字を和歌の(5・7・5・7・7の)各句の頭文字に置いて旅の気持ちを詠みなさい。」


と言ったので詠む(歌)。

(何度も着て身になじんだ)唐衣のように、(長年なれ親しんだ)妻が(都に)いるので、(その妻を残したまま)はるばる来てしまった旅(のわびしさ)を、しみじみと思うことです。

歌の解説


と詠んだので、みな、乾飯の上に涙を落としたので、(乾飯は)ふやけてしまいました。

※つづき:駿河編「行き行きて、駿河の国にいたりぬ〜」

次ページ:品詞分解・単語とテストに出題されそうな問題

1ページへ戻る
前のページを読む
1/2
次のページを読む

Tunagari_title
・伊勢物語『東下り・三河』(昔、男ありけり〜)のわかりやすい現代語訳と解説

Related_title
もっと見る 


Keyword_title

Reference_title
『教科書 国語総合』 桐原書店
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店
『教科書 高等学校 国語総合 古典編』 東京書籍
『教科書 高等学校国語 国語総合 古典編』 東京書籍

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 573,913 pt 
 役に立った数 858 pt 
 う〜ん数 119 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!