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18_80 西アジア・地中海世界の形成 / ローマ帝国

古代ローマの歴史 6 ローマの文化

著者名: ピアソラ
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ローマ文化の特徴

古代ローマの歴史を見てきた所で、最後にローマの文化について解説します。
ローマ文化は、ギリシア文化やヘレニズム文化の流れを色濃く受けていました。
この2つの文化をうまく取り入れながら、実用的な面で発展させたのがローマ文化の特徴です。

文学

ローマ人はギリシア語で書かれた文章を参考にしながら、自分たちの言葉であるラテン語ローマ文字を開発し、ラテン文学を発達させます。

ヴェルギリウス(紀元前70~紀元前19)

古代ローマ最大の詩人で、著名な作品に『農耕詩』と『アエネイス』があります。
『農耕詩』は、当時の農民の生活や農業、放牧などを描き、農業が非常に魅力的な仕事であるということを訴えた作品です。
『アエネイス』は、ホメロスの『イリアス』や『オデュッセイア』を手本にして書かれたローマの建国史です。
トロイア戦争の英雄アエネイスが、地中海の様々な地域を旅しながら、イタリアにローマを建国するまでが描かれています。

ホラティウス(紀元前65~紀元前8)

ローマの平和の到来を叙情詩にした『叙情詩集』を残しました。
ホラティウスの著名な言葉に「征服されたギリシア人は、猛きローマを征服した」というものがあります。
ローマの拡大とともに衰退していったギリシアが、文化の面でローマに生き続けたということを表した言葉です。

オヴィディウス(紀元前43~17頃)

古代ローマの叙情詩人で、『転身譜(変身物語)』や『愛の歌』などを残しました。

『転身譜』はギリシア・ローマ神話の人物たちが動物、植物、星座などに姿を変えていく話を集めたものです。ろうで固めた翼を使って空を飛んだイカロスの話など、有名な物語が含まれています。

ギリシア神話から着想を得た『恋愛術(アルス・アマトリア)』という作品を書きましたが、内容に性的描写が多く、時のローマ皇帝アウグストゥスの怒りを買い、流刑に処されてしまいました。

キケロ(紀元前106~紀元前43)

キケロは散文家・雄弁家・政治家というマルチタレントな人物でした。散文というのは小説や評論などの文章のことです。『国家論』という有名な書物を残し、ラテン語の手本となるような文章を多く書きました。
カエサルのライバルで、最後はアントニウスの刺客に暗殺されてしまいます。

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(元老院で演説するキケロ)

哲学

ローマ哲学の主流はキプロス出身のゼノンによって始められたストア派でした。
キケロによりストア哲学がラテン語に翻訳され、次第に上層市民に広がっていきます。

セネカ(紀元前4~65)

ヒスパニア(現在のスペイン)のコルドバに生まれ、やがてローマの元老院議員となります。
その後政治活動と同時にストア派哲学者としても活躍します。『怒りについて』、『寛容について』、『幸福論』などの著作を残し、ローマを代表するストア派哲学者となります。

暴君として知られるネロ帝の家庭教師を務め、初期の善政を導きましたが、最後はネロ帝により自殺を強要されました。

エピクテトス(55~135)

ギリシアの奴隷出身のストア派哲学者です。
奴隷出身者として様々な苦労を重ねながら、ストア哲学を発展させました。

マルクス=アウレリウス=アントニヌス(在位161~180)

超有名な五賢帝最後の皇帝ですね。
皇帝としての政務をこなす一方、「哲人皇帝」としてストア哲学を発展させた哲学者でもありました。

自らの人生をもとに『自省録』を著しました。

ルクレティウス(紀元前99~紀元前55)

ストア派とは異なるエピクロス派の古代ローマの哲学者です。
『事物の本性について』を著しました。

プロティノス(205~270)

ギリシアのプラトンから500年後、新たにオリエントの宗教思想を加えて、新プラトン主義という哲学を始めた哲学者です。
新プラトン主義は、その後中世ヨーロッパでアウグスティヌスに取り上げられ、キリスト教神学に大きな影響を与えます。

宗教

ローマでは宗教も現実的でした。
初期には、ギリシアのオリンポスの神々が取り入れられ、ローマの神として信仰されます。

ローマ神話ギリシア神話
ユピテル(ジュピター)ゼウス
ユノ(ジュノー)ヘーラー
ミネルウァ (ミネルヴァ)アテーナー
アポロ(アポロ)アポローン
マルス(マーズ)アレース
ウェヌス(ヴィーナス)アプロディーテー
メルクリウス (マーキュリー)ヘルメース
ディアーナ (ダイアナ)アルテミス
ネプトゥーヌス (ネプチューン)ポセイドーン
ケレース(ケレス)デーメーテール
ウルカヌス(ヴァルカン)ヘーパイストス
ウェスタ (ヴェスタ)ヘスティアー


このようなローマの伝統的な宗教もありましたが、帝国の拡大とともに様々な宗教が現れます。

エジプトのイシス教やミトラ教、マニ教、キリスト教など各地にそれぞれ信徒をもち、最終的にキリスト教が国教化されるまで、様々な宗教が帝国内に存在しました。

歴史学

ローマの歴史学は、最初神官による筆記を元にしていました。
その後時代を経るごとに、本格的な歴史書が登場します。

ボリビオス(紀元前201~紀元前120)

ギリシア人の歴史家・軍人で、第三次マケドニア戦争の際ローマの人質になります。
その後小スキピオに厚遇され、第3回ポエニ戦争に参加し、『歴史』を著します。
彼は政体循環史観という歴史観を持っていました。
これは、ギリシアの政体は君主制→暴君制→貴族制→寡頭制→民主制→衆愚政を経て君主制に戻り循環するため、政治的に不安定であるとし、一方のローマの政体は、執政官、元老院、民会がそれぞれ君主制、貴族制、民主制の役割をもつ混合政体であることから非常に安定的な政治体制を築いているという歴史観です。

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リヴィウス(紀元前59~17)

アウグストゥス帝の庇護を受け、142巻にものぼる『ローマ建国史』を残しました。
ローマの建国から、第3次マケドニア戦争までの歴史を記し、ラテン文学としても秀逸な作品でした。

カエサル(紀元前100頃~紀元前44)

意外かもしれませんが、ローマの英雄カエサルも、ラテン文学の傑作を残しています。キケロと並ぶローマの散文家だったカエサルは『ガリア戦記』という作品で、ガリア平定までの道のりをガリア・ゲルマニア・ブリタニアなどの状況まじえてラテン語で記しています。
ローマの敵だった古代ケルト、ゲルマンの貴重な資料です。

またカエサルは、紀元前46年に、エジプトの太陽暦をもとにしたユリウス暦を作っています。

タキトゥス(55頃~120頃)

共和制の信奉者で、帝政を批判的な文章を書きました。
主著は『ゲルマニア』、『年代記』です。

『ゲルマニア』はゲルマン人の社会を描きながら、彼らを「高貴な野蛮人」とし、当時荒廃しつつあったローマ市民に警告する目的で書かれました。カエサルの『ガリア戦記』とともに、古代ゲルマンの貴重な資料です。

『年代記』は、アウグストゥスからネロまでのローマの政治を記し、良き共和制を偲ぶ内容が読み取れます。

プルタルコス(46頃~120頃)

ギリシア人の伝記作家で、ギリシアとローマの英雄を比較した『対比列伝』を記しました。

その他の学問

ストラボン(紀元前64~21頃)

小アジア出身のギリシア人地理学者で、『地理誌』を残します。

プリニウス(23~79)

ローマの植物学者です。百科全書の『博物誌』をまとめます。
将軍職にもついており、南イタリアのヴェスヴィオ火山噴火の際に亡くなります。

プトレマイオス(83頃~168頃)

エジプトのアレクサンドリアで活動した数学者・天文学者・占星術師です。
天文学大全(アルマゲスト)』という数学と天文学の専門書を記します。
プトレマイオスは著作の中で天動説を唱え、その後長い間天文学の基礎とされます。

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ガレノス(131~201)

ギリシア出身の医師です。マルクス=アウレリウス=アントニヌスの主治医で、解剖学や生理学などで大きな功績を残します。

ローマ法

ローマが残した優れた功績の一つとして、ローマ法が挙げられます。
共和制の時期に十二表法を始めとして多くの成文法が成立し、法学という概念ができました。

ローマ帝政期になると、市民権の付与が拡大し、ヘレニズム文化やストア哲学の世界市民主義(コスモポリタニズム)の影響から、さまざまな人間に適用される万民法が成立します。

ローマの法律は、その後ローマ帝国分裂後の東ローマ帝国で、皇帝ユスティニアヌスが法学者トリボニアヌスにローマ法の編纂を命じ、『ローマ法大全』にまとめられました。

建築

ローマは、優美で実用的な建築をいくつも残しています。その一例を紹介します。

アッピア街道

監察官アッピウスによって作られたローマ最古の軍道で、ローマの実用的遺産の典型です。

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コロッセウム

ローマの円形闘技場で、ウェスパシアヌス治世の75年に着工しティトゥス治世の80年に利用されます。

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凱旋門

ローマの勝利を記念して、凱旋式を行うために建てられた建築物です。

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パンテオン

いろいろな神々を祀るための万神殿です。現在はキリスト教会になっています。

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ガール水道橋

フランス南部の川に作られた水道橋です。ローマの市民生活を支えていました。

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・古代ローマの歴史 6 ローマの文化

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『詳説世界史研究』 山川出版社
『世界史B 用語集』 山川出版社

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