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源氏物語 桐壺 その8 靫負命婦の弔問1
著作名: 春樹
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【源氏物語 原文】

野分立ちて、にはかに肌寒き夕暮のほど、常よりも思し出づること多くて、靫負命婦といふを遣はす。夕月夜のをかしきほどに出だし立てさせたまひて、やがて眺めおはします。
かうやうの折は、御遊びなどせさせたまひしに、心ことなる物の音を掻き鳴らし、はかなく聞こえ出づる言の葉も、人よりはことなりしけはひ容貌の、面影につと添ひて思さるるにも、闇の現にはなほ劣りけり。

命婦、かしこに参で着きて、門引き入るるより、けはひあはれなり。やもめ住みなれど、人一人の御かしづきに、とかくつくろひ立てて、めやすきほどにて過ぐしたまひつる、闇に暮れて臥し沈みたまへるほどに、草も高くなり、野分にいとど荒れたる心地して、月影ばかりぞ八重葎にも障はらず差し入りたる。
【現代語訳】

野分のような風が吹いて肌寒く感じられる日の夕方に、帝はよりいっそう更衣のことを思い出すようになります。

そこで靫負命婦という人を使者として、北の方のもとへ向かわせました。
夕月の美しい時間に出発させて、そのまま物思いにふけっています。

以前は、このような月夜には管弦楽の遊びが行われていましたが、その中でも更衣は際立って上手な音をかき鳴らしていました。またそんな夜に詠まれる歌なども非凡なものがありました。彼女の幻が帝に寄り添うように思われても、闇の中の現実にはやはり及びませんでした。

命婦は、更衣の家について門をくぐるなり言いようのない寂しさに苛まれました。夫の大納言が亡くなり未亡人一人の家ではあったのですが、昔は一人娘(更衣)のために、みすぼらしく見えないようにと家の外見にもきちんと気を配り、きちんと手入れをして暮らしてはいたのですが、娘を失い悲しみに暮れて臥せているうちに、庭の雑草も高くなっていました。

野分の風のせいで庭はよりいっそう荒れた感じがしましたが、月の光だけは雑草に遮られずに射し込んでいました。
 




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