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古文単語「あいなし」の意味・解説【形容詞ク活用】
著作名: 走るメロス
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あいなし

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形容詞・ク活用

未然形あいなくあいなから
連用形あいなくあいなかり
終止形あいなし
連体形あいなきあいなかる
已然形あいなけれ
命令形あいなかれ


意味1

筋が通らない、不都合である

[出典]:更級日記
「継母なりし人、下りし国の名を宮にもいはるるに、こと人かよはして後も、なほその名をいはるるとききて、親の、『いまはあいなきよしいひにやらむ』とあるに...」

[訳]:継母であった人は、下った先の国の名前を宮中でも呼ばれていましたが、異なった人と結婚した後でも、やはりその名前で呼ばれていると聞いて、父が、「今は(その名前は)不都合である」と(継母に)言うのですが...


意味2

感心しない、気に入らない

[出典]桐壷 源氏物語
「上達部、上人なども、あいなく目をそばめつつ、いとまばゆき人の御おぼえなり。」

[訳]:上達部や殿上人たちも、(そのご様子を)感心しないことだと思って目をそむけており、とても見ていられないほどのご寵愛ぶりです。


意味3

どうしようもない、無益である

[出典]:常夏 源氏物語
「なぞ、かくあいなきわざをして、やすからぬもの思ひをすらむ。」

[訳]:どうして、このようなどうしようもないこと(恋)をして、心が落ち着かない思いをするのだろうか。


意味4

面白くない、つまらない

[出典]:世に語り伝ふること 徒然草
「世に語り伝ふる事、まことはあいなきにや、多くは皆虚言なり。」

[訳]:世の中に語り伝えることは、本当のことは面白くないからであろうか、多くは皆作り事である。


意味5

むやみに、わけもなく

[出典]須磨 源氏物語
「...と歌ひ給へるに、人々おどろきて、めでたうおぼゆるに、忍ばれで、あいなう起きゐつつ、鼻を忍びやかにかみわたす」

[訳]:...とお詠みになると、(寝ていた)人々ははっと目を覚まして、素晴らしいと思うことに(都を負われた光源氏のことを思うと悲しみを)こらえることができずに、わけもなく起きたり座ったりしては、次々と鼻をそっとかんでいます。


備考

「あいなう」は「あいなし」の連用形「あいなく」のウ音便。

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