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『王昭君』現代語訳・書き下し文と解説
著作名: 走るメロス
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『王昭君』

ここでは西京雑記の中の『王昭君』という故事の書き下し文・現代語訳と解説をしています。

あらすじ

元帝は前漢の皇帝でした。宮廷には多くの女性を召し抱え、綺麗な人だけを寵愛しようとしました。しかしあまりにも女性が多いので、1人1人の顔を確認してまわるわけにもいきません。そこで元帝は、絵描きたちに女性の似顔絵を描かせて、その似顔絵が美しい女性だけ相手にしていました。女性たちはそのことを知っていたので、絵描きたちに賄賂を送り、わざと似顔絵を美しく描いてもらっていました。しかし、女性の中でただ1人、絵描き師たちに賄賂を送らなかった女性がいました。それが「王昭君」です。王昭君は歴史上で中国四代美女の1人に数えられるほどの美人でしたが、賄賂を送らなかったために、その似顔絵はひどく醜く描かれたのです。

あるとき隣の匈奴国(モンゴル)から、前漢の女性を皇后として迎え入れたいと要望があったので、元帝は宮廷に仕えていた女性を1人選びました。それが王昭君でした。元帝は王昭君に直接会うことなく、醜く描かれた似顔絵だけで選んだのです。

出国前に元帝がいざ王昭君を呼び出してみると、似顔絵とは全くことなる美人ではありませんか。匈奴国に嫁がせるにはおしすぎるほどの美人でしたが、王昭君が嫁ぐ準備はすでに整っており、匈奴国の信用を失わないためにも、いまさら女性を変えるわけにはいきませんでした。

元帝は似顔絵と本人とがあまりにも違ったことを不思議に思ってその理由を探りました。すると、絵描きたちが女性たちから賄賂を受け取っていたことが発覚したのです。怒った元帝は絵描きたちを処刑したということです。

白文(原文)

元帝後宮既多、不得常見。
使画工図形、案図、召之。
諸宮人皆賂画工、多者十万、少者亦不減五万。
独王嬙不肯。
遂不得見。

匈奴入朝、求美人為閼氏
於是上案図、以昭君行。
及去召見、貌為後宮第一。
善対応、挙止閑雅
帝悔之、而名籍已定。
帝重信於外国。
故不復更人。
窮案其事、画工皆棄市。

書き下し文

元帝の後宮既に多く、常には見ゆるを得ず。
乃ち画工をして形を図かしめ、図を案じ、召して之を幸す。
諸宮人皆画工に賂ひし、多き者は十万、少なき者も亦五万を減ぜず。
独り王嬙のみ肯ぜず。
遂に見ゆるを得ず。

匈奴入朝するや、美人を求めて閼氏と為さんとす。
是に於いて上図を案じ、昭君を以て行かしむ。
去るに及びて召見するに、貌後宮第一たり。
善く応対し、挙止閑雅なり。
帝之を悔ゆるも、名籍已に定まる。
帝信を外国に重んず。
故に復た人を更へず。
乃ち其の事を窮案し、画工皆棄市せらる。

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