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平家物語原文全集「祇王 8」
著作名: 古典愛好家
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平家物語

祇王

かくて今年も暮れぬ。あくる春のころ、入道相国祇王がもとへ使者を立てて、

「いかにその後何事かある。仏御前が余りにつれづれげに見ゆるに、参って今様をもうたひ、舞なんどを舞ふて、仏なぐさめよ」


とぞの給ひける。祇王とかふの御返事にも及ばず。入道、

「など祇王は返事はせぬぞ。参るまじひか。参るまじくはそのやうを申せ。浄海もはからふむねあり」


とぞの給ひける。

        
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