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蜻蛉日記原文全集「長月のつごもりいとあはれなる空のけしきなり」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

長月のつごもりいとあはれなる空のけしきなり

長月のつごもり、いとあはれなる空のけしきなり。まして昨日今日、風いとさむく、しぐれうちしつついみじくものあはれにおぼえたり。とほ山をながめやれば、紺青をぬりたるとかやいふやうにて、霰(あられ)ふるらしともみえたり。

「野のさまいかにをかしからん。見がてらものにまうでばや」


などいへば、前なる人、

「げにいかにめでたからん。初瀬に、このたびはしのびたるやうにておぼし立てかし」


などいへば、

「去年(こぞ)も心みんとていみじげにてまうでたりし、石山の仏心をまづみはてて、春つ方、さもものせん。そもそもさまでやは猶うくて命あらん」


など心ぼそうていはる。

そでひつる時をだにこそなげきしか みさへしぐれのふりもゆくかな

すべて世にふることかひなくあぢきなき心ち、いとするころなり。



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