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蜻蛉日記原文全集「それよりたつほどに」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

それよりたつほどに

それよりたつほどに、雨風いみじくふりふぶく。三笠山(みかさやま)をさして行くかひもなく、ぬれまどふ人おほかり。からうしてまうでつきて、幣帛(みてぐら)たてまつりて、初瀬ざまにおもむく。飛鳥(あすか)に御灯明(みあかし)たてまつりければ、ただ釘貫(くぎぬき)に車をひきかけてみれば、木(こ)だちいとをかしきところなりけり。庭(には)きよげに井もいとのままほしければ、むべ、

「やどりはすべし」


といふらんと見えたり。いみじき雨いやまさりなれば、いふかひもなし。
    
      
      
     

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