manapedia
蜻蛉日記原文全集「読経修法などして」
著作名: 古典愛好家
2,564 views
マナペディア(manapedia)とは、中学校・高等学校で勉強する科目に特化した、マナビを共有し合う場です。たくさんのテキストの中からあなたにあったマナビを探したり、あなたが学習・勉強してきたマナビを形に残したりすることができます。テキストの内容に関しては、他の参考文献をご覧になり、ご自身の責任のもとご判断・ご利用頂きますようお願い致します。

蜻蛉日記

読経修法などして

読経修法などして、いささかおこたりたるやうなれば、夕のこと、みづから返りごとす。

「いとあやしう、おこたるともなくて日をふるに、いとまどはれしことはなければにやあらん、おぼつかなきこと」


など、人間にこまごまと書きてあり。

「物おぼえにたれば、あらはになどもあるべうもあらぬを、夜の間にわたれ。かくてのみ日をふれば」


などあるを、人はいかが思ふべきなど思へど、われもまたいとおぼつかなきに、たちかへりおなじことのみあるを、いかがはせんとて、

「くるまを給へ」


といひたれば、さしはなれたる廊のかたに、いとようとりなし、しつらひて、端にまちふしたりけり。火ともしたるに、火けさせておりたれば、いと暗うていらんかたもしらねば、

「あやし、ここにぞある」


とて、手をとりてみちびく。

「などかう久しうはありつる」


とて、日ごろありつるやうくづしかたらひて、とばかりあるに、

「火ともしつけよ。いと暗し。さらにうしろめたくはなおぼしそ」


とて、屏風のうしろにほのかにともしたり。

「まだ魚(いを)なども食はず。今宵なんおはせばもろともに、とてある。いづら」


などいひて、物まゐらせたり。すこし食ひなどして、禅師(ぜし)たちありければ、夜うちふけて、

「護身に」


とてものしたれば、

「今はうちやすみ給へ。日ごろよりは少しやすまりたり」


といへば、大徳、

「しかおはしますなり」


とて、たちぬ。




 

このテキストを評価してください。
役に立った
う~ん・・・
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。