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蜻蛉日記原文全集「これをはじめにてまたまたもおこすれど」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

これをはじめにてまたまたもおこすれど

これをはじめにてまたまたもおこすれど、返りごともせざりければ、又

おぼつかなおとなきたきの水なれや ゆくへもしらぬせをぞたづぬる

これを、

「いまこれより」


といひたれば、しひたるやうなりや、かくぞある。
 
ひとしれずいまやいまやとまつほどに かへりこぬこそわびしかりけれ

とありければ、例の人

「かしこし。をさをさしきやうにもきこえんこそよからめ」


とて、さるべき人して、あるべきに書かせてやりつ。それをしもまめやかにうちよろこびて、しげうかよはす。また添へたる文みれば

はまちどりあともなぎさにふみみぬは われをこすなみうちやけつらん

この度も例のまめやかなる返りごとする人あれば、まぎらはしつ。又もあり

「まめやかなるやうにてあるも、いと思ふやうなれど、このたびさへなうは、いとつらうもあるべきかな」


など、まめ文のはしに書きて添へたり。

いづれともわかぬ心はそへたれど こたびはさきにみぬ人のがり

とあれど、例のまぎらはしつ。かかれば、まめなることにて月日はすぐしつ。



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