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枕草子 原文全集「世の中になほいと心うきものは」
著作名: 古典愛好家
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世の中になほいと心うきものは

世の中になほいと心うきものは、人ににくまれむことこそあるべけれ。たれてふ物狂ひか、われ人にさ思はれむ、とは思はむ。されど、自然に宮仕へ所にも、親はらからの中にても、思はるる思はれぬがあるぞ、いとわびしきや。

よき人の御ことはさらなり、下衆などのほどにも、親などのかなしうする子は、目たて耳たてられて、いたはしうこそおぼゆれ。見るかひあるはことはり、いかが思はざらむとおぼゆ。ことなることなきは、また、これをかなしと思ふらむは、親なればぞかしと、あはれなり。

親にも君にも、すべてうち語らふ人にも、人に思はれむばかりめでたきことはあらじ。
        

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