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枕草子 原文全集「さかしきもの/ただ過ぎに過ぐるもの/殊に人に知られぬもの」
著作名: 古典愛好家
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さかしきもの

さかしきもの。今様の三歳児。

ちごの祈りし、腹などとる女。ものの具どもこひ出でて、祈り物作る。紙をあまたおし重ねて、いとにぶき刀してきるさまは、一重だに裁(た)つべくもあらぬに、さるものの具となりにければ、おのが口をさへひきゆがめておし切り、目ほかるものどもして、かけ竹うち割りなどして、いと神々しうしたてて、うちふるひ祈ることども、いとさかし。かつは、

「なにの宮、その殿の若君、いみじうおはせしを、かいのごひたるやうにやめたてまつりしかば、禄をおほく給はりしこと。その人かの人めしたりけれど、しるしなかりければ、いまに女をなむめす。御徳をなむ見る」


など語りをる。顔もあやし。
 
下衆の家の女あるじ。痴れたるもの、それしもさかしうて、まことにさかしき人を教へなどすかし。


ただ過ぎに過ぐるもの

ただ過ぎに過ぐるもの。帆かけたる舟。人のよはひ。春、夏、秋、冬。


殊に人に知られぬるもの

殊(こと)に人に知られぬもの。凶会日。人の女親の老いにたる。



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