manapedia
枕草子 原文全集「病は/十八九ばかりの人の/八月ばかりに」
著作名: 古典愛好家
3,785 views
マナペディア(manapedia)とは、中学校・高等学校で勉強する科目に特化した、マナビを共有し合う場です。たくさんのテキストの中からあなたにあったマナビを探したり、あなたが学習・勉強してきたマナビを形に残したりすることができます。テキストの内容に関しては、他の参考文献をご覧になり、ご自身の責任のもとご判断・ご利用頂きますようお願い致します。

病は

病は。胸。物の怪(もののけ)。脚の気。はてはただそこはかとなくて物くはれぬ心地。


十八九ばかりの人の

十八九ばかりの人の、髪いとうるはしくて、たけばかりに、裾(すそ)いとふさやかなる、いとようこゑて、いみじう色しろう、顔愛敬づき、よしとみゆるが、歯をいみじう病みて、額髪もしとどになきぬらし、みだれかかるもしらず、おもてもいとあかくて、おさへてゐたるこそ、をかしけれ。


八月ばかりに

八月ばかりに、白き単衣(ひとへ)なよらかなるに、袴よきほどにて、紫苑の衣の、いとあてやかなるをひきかけて、胸をいみじう病めば、友だちの女房など、かずかすきつつとぶらひ、外のかたにも、わかやかなる君達(きんだち)あまたきて、

「いといとほしきわざかな。例もかうやなやみ給ふ」


など、ことなしびにいふもあり。心かけたる人は、まことにいとほしと思ひなげきたるこそ、をかしけれ。


いとうるはしう長き髪をひき結ひて、ものつくとて、起きあがりたるけしきもらうたげなり。


上にもきこしめして、御読経の僧の、声よき給はせたれば、几帳ひきよせてすゑたり。ほどもなきせばさなれば、とぶらひ人あまたきて、経ききなどするもかくれなきに、目をくばりてよみゐたるこそ、罪や得らむとおぼゆれ。


このテキストを評価してください。
役に立った
う~ん・・・
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。