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イスラーム文明の発展(都市文明、固有の学問、外来の学問など) 受験対策問題 37
著作名: レキシントン
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イスラーム文明の発展で押さえておきたいポイント

※赤字部分が問題に出そうな部分です。赤色の暗記シートなどで隠して見てください。

イスラーム社会発展とイクター制

・イスラーム国家では、ウマイヤ朝アッバース朝の時代に、アターという俸給が軍人や官僚に支給された。アターは、ディーワーンという役所が取り扱った。

・アターは征服地からの租税をもとに支給されたが、9世紀以降マムルークなどの軍人政権が各地に成立しカリフの権力が衰えたため税収が減り、アター制は廃止された。

・アター制の代わりに、ブワイフ朝がはじめたのがイクター制である。イクター制は、王朝への忠誠を軍人や官僚に求める代わりに、俸給(アター)に見合う税収を確保できる土地の管理と徴税権を与えたものである。セルジューク朝の宰相ニザーム=アルムルクによって更に整備され、さまざまなイスラーム国家運営の柱となった。

イスラーム文明の特徴

・イスラーム文明とは、イスラーム教アラビア語を主体とし、さまざまな諸地域の文明とまざりあって形成された融合文明である。イスラーム教は、民族差別を否定し、イスラーム教徒の平等を説く教えであったため、その普遍性が各地の文化の融合を可能とした。主に、イラン=イスラーム文化・トルコ=イスラーム文化・インド=イスラーム文化にわけられる。また、西方ではイベリア半島西ゴート王国の首都トレドを中心にイスラーム文明がヨーロッパ世界にもたらされた。

イラン=イスラーム文化

トルコ系のセルジューク朝で活躍したウマル=ハイヤームニザーム=アルムルクや、モンゴル系のイル=ハン国で活躍したラシード=アッディーンなど、イラン系の知識人によって形成された文化のことである。

トルコ=イスラーム文化

ティムール朝の支配下において、イラン=イスラーム文化が中央アジアのトルコ系民族に伝わり形成された文化のことである。都サマルカンドヘラートに壮麗なマドラサやモスクが建立され、細密画・トルコ語イスラーム文学・天文学・暦法が発達した。

インド=イスラーム文化

奴隷王朝からはじまるデリー=スルタン朝の成立以降、ムガル帝国にいたるまでインドで発達したイスラーム文明。インド古来のヒンドゥー文化と融合し、ウルドゥー語の発明やタージ=マハル建立ラージプート絵画などがうまれた。

・こうしたイスラーム文明は、イスラーム教が商人の大都市メッカから生まれた背景から、都市文明であった。イスラーム都市は、宗教施設のモスクとミナレット(尖塔)、教育機関のマドラサ、市場のスーク病院などの公共施設が建設され、近隣の都市と通商・交通網や、キャラヴァンサライなどの隊商交易施設が整備されイスラーム=ネットワークが成立した。特にアッバース朝期のバグダートや、マムルーク朝期のカイロはイスラーム大都市の代表例である。

・イスラーム世界はウラマーという神学・法学者が活躍し、カーディという裁判官が法を執行した。

・ウラマーは次第に官僚化し、イスラーム法の難解な解釈や形式主義がひろまった。こうした状況に反発し、内面的な救いを重視するスーフィズムという神秘主義がおこった。イスラーム神秘主義者はスーフィーと言われ、12世紀バグダートで組織されたカーディリー教団や、13世紀アナトリアで組織されたメヴレヴィー教団などの神秘主義教団が設立された。

イスラーム学問

・イスラーム学問は、アラビア語と『コーラン』をもとに発達した。『コーラン』とハディース(ムハンマド言行の伝承)は解釈され、シャリーアというイスラーム法となり、宗教儀礼やイスラーム教徒の生活の規範となった。

固有の学問

・『コーラン』にもとづいた、アラブ人固有の学問分野を固有の学問という。固有の学問は、法学・神学・文法学・書記学・詩学・韻律学・歴史学などがある。固有の学問に貢献した代表的な人物は以下である。

ジャーヒズ

アッバース朝時代に活躍したイスラーム神学・文学者。中世イスラーム文学を切り開いた。

タバリー

アッバース朝時代に活躍したイラン系イスラーム神学・歴史学者。『預言者と諸王の歴史』という年代記的な世界史を著した。

ガザーリー

セルジューク朝時代に活躍したイラン系イスラーム神学者。ニザーミーヤ学院の教授で、スンナ派神学の研究をおこなった。その後神秘主義者となり、スーフィズムの理論化を進めた。

イブン=ハルドゥーン

チュニス出身のイスラーム歴史家。都市と遊牧民の関係を中心に、歴史発展の法則性を論じた『世界史序説』を著した。

フィルドゥシー

ガズナ朝時代のイラン人詩人。『シャー=ナーメ(王の書)』というペルシア語の叙事詩をのこした。

オマル=ハイヤーム

セルジューク朝時代のイラン系詩人。ジャラリー暦の制定に参加し、『ルバイヤート』という四行詩集をのこした。

ラシード=アッディーン

イル=ハン国の政治・歴史家。ガザン=ハンの命を受け、ペルシア語でモンゴル史を論じた『集史』をのこした。

外来の学問

固有の学問に対し、ギリシアやインドなどアラブ文化以外からもたらされた学問を外来の学問という。外来の学問は、哲学・論理学・地理学・医学・数学・天文暦学・光学・錬金術などがある。外来の学問に貢献した代表的な人物は以下である。

イブン=ハズム

後ウマイヤ朝期に、コルドバを拠点に活躍したイスラーム神学者。

イブン=ルシュド(アヴェロエス)

コルドバに生まれ、のちにムワッヒド朝に仕えた哲学者。ラテン語でアヴェロエスと呼ばれ、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの著作に注釈を加え、のちのヨーロッパでおこったスコラ哲学に大きな影響を与えた。

イブン=バットゥータ

モロッコ出身の大旅行家。エジプト・西アジア・インド・スマトラ・中国・中央アジア・東ヨーロッパ・アフリカを旅し、『三大陸周遊記』を口述した。

フワーリズミー

アッバース朝時代の数学・天文学者。代数学(algebra)を発達させた。

イブン=シーナー(アヴィケンナ)

イラン系の医学・哲学者。イスラーム哲学を完成させ、医学分野では『医学典範』というギリシア・アラビア医学を集大成した書籍をのこした。ラテン語でアヴィケンナと言われる。

その他のイスラーム文化

・イスラーム世界は、イスラーム文化やインドや旧ヘレニズム地域の文化を受容し、イスラーム科学を発展させた。インドで成立したゼロの概念と、アラビア数字十進法が融合し、アラビア数学が発展した。

・9世紀アッバース朝のカリフマームーンは、バグダート知恵の館(バイト=アルヒクマ)を建設し、ギリシア語やペルシア語の文献をアラビア語に翻訳させ、さまざまな学問が発達した。

・バグダートを舞台にした『千夜一夜物語(アラビアン=ナイト)』は、16世紀のカイロで完成した。

・絵画の分野では、13世紀半ばに中国の文化が流入し、中国画から影響を受けたミニアチュール(細密画)が発達した。

・建築では、ナスル朝アルハンブラ宮殿など壮麗な宮殿が作られ、アラベスクという幾何学模様が宮殿の隅々までほどこされた。

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