manapedia
枕草子 原文全集「しのびたる所にありては」
著作名: 古典愛好家
3,365 views
しのびたる所にありては

しのびたる所にありては、夏こそをかしけれ。

いみじくみじかき夜の明けぬるに、つゆ寝ずなりぬ。

やがてよろづの所あけながらあれば、涼しく見えわたされたる。

なほ今すこし言ふべきことのあれば、かたみに答などするほどに、ただ居たるうへより、烏のたかくなきて行くこそ、顕正(けせう)なる心地してをかしけれ。


また、冬の夜のいみじう寒きに、思う人とうもれふして聞くに、鐘の音の、ただ、ものの底なるやうに聞ゆる、いとをかし。

鳥のこゑも、はじめは羽のうちになくが、口をこめながらなけば、いみじうものふかく、遠きが、明くるままにちかく聞ゆるも、をかし。
           


このテキストを評価してください。
役に立った
う~ん・・・
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。