manapedia
枕草子 原文全集「七月ばかりに/にげなきもの」
著作名: 古典愛好家
3,061 views
マナペディア(manapedia)とは、中学校・高等学校で勉強する科目に特化した、マナビを共有し合う場です。たくさんのテキストの中からあなたにあったマナビを探したり、あなたが学習・勉強してきたマナビを形に残したりすることができます。テキストの内容に関しては、他の参考文献をご覧になり、ご自身の責任のもとご判断・ご利用頂きますようお願い致します。

七月ばかりに

七月ばかりに、風いたうふきて雨など騒がしき日、大かたいと涼しければ、扇もうちわすれたるに、汗の香すこしかかへたる綿衣(綿衣)のうすきを、いとよくひき着て昼寝したるこそ、をかしけれ。


にげなきもの

にげなきもの。下衆(げす)の家に雪の降りたる。また、月のさし入りたるもくちをし。月のあかきに屋形(やかた)なき車のあひたる。また、さる車にあめ牛かけたる。また、老いたる女の腹高くてありく。若き男もちたるだに見ぐるしきに、こと人のもとへいきたるとて腹立つよ。老いたる男の、寝まどひたる。また、さやうに鬚(にげ)がちなるもののしゐつみたる。歯もなき女の梅くひてすすがりたる。

下衆の、紅の袴着たる。このころはそれのみぞあめる。靫負(ゆげひ)の佐(すけ)の夜行すがた。狩衣(かりぎぬ)姿もいとあやしげなり。人に怖(お)ぢらるるうえの衣はおどろおどろし。たちさまよふも見つけであなづらはし。「嫌疑のものやある」と、とがむ。入り居てそらだき物に染みたる木丁にうちかけたる袴など、いみじうたづきなし。

かたちよき君達の、 弾正の弼(ひち)にておはする、いと見ぐるし。宮中将などの、さもくちをしかりしかな。




このテキストを評価してください。
役に立った
う~ん・・・
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。