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市場の失敗 ~市場経済は万能じゃない!~
著作名: 逆転検事
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はじめに

私たち日本人は、資本主義経済に生きています。
資本主義は市場機構を通じて、様々な富の配分を可能にしていますが、時にその市場がうまく機能しない場合があります。
今日は、その市場の失敗についてみていきましょう。

そもそも市場とは

まずはじめに、市場とは何でしょう?
著名な経済学者アダム=スミスは市場の調整機能を次のように述べています。

人は自分自身の安全と利益だけを求めようとする。この利益は、例えば「莫大な利益を生み出し得る品物を生産する」といった形で事業を運営することにより、得られるものである。そして人がこのような行動を意図するのは、他の多くの事例同様、人が全く意図していなかった目的を達成させようとする見えざる手によって導かれた結果なのである。『国富論』第4編「経済学の諸体系について」第2章より


市場とは、スミスが「見えざる手」と例えたように、需要と供給のバランスを効率的に調整し、資源の最適分配を行うシステムだと考えられています。

ところが、この効率的な市場システムは、完全競争市場という架空の市場によってもたらされるものです。

完全競争市場というのは、以下のような特徴を備えているものです。

市場に小規模かつ多数の参加者がいること

提供される財やサービスが同じものであること

財やサービスに関する情報を、市場に参加するすべての者(供給者、需要者)が持っていること

市場への参入や退出が容易であること


どうですか?完全競争市場は、現実の社会では実現不可能だということがわかるでしょう。

現実には、上記の条件すべてを持つ市場は存在しえません。なので、効率的な資源配分には限界があるんです。

市場の失敗

さて、完全競争市場の実現可能性が低いことを念頭に置くと、市場は時として失敗することがあることがわかります。

どんな状況になると、市場が失敗するのでしょう。その事例をみてみましょう。

独占・寡占

まず一つ目の原因として、独占・寡占市場が形成されることによって、資源配分の効率性が失われることがあります。

独占市場というのは一社のみが、寡占市場というのは数社のみが、それぞれ財やサービスを提供している市場のことです。

独占・寡占市場では、企業は超過利潤を求めて生産を抑え、価格の上昇を意図的に操作することができます。

このような市場の状況では、財やサービスの価格は高くなり、消費者は高価格を払うしかありません。

そのため社会全体で見れば、必要な商品が手に入りにくなって、資源配分の効率性が失われてしまうんです。

外部性

二つ目の原因は外部性です。

外部性というのは、ある経済主体の行動が、他の経済主体に何らかの影響を与えることを指します。

プラスの影響を外部経済、マイナスの影響を外部不経済といいます。

この外部性は、市場を通して影響をあたえるわけではないので、市場の効率性を歪めてしまいます。

公共財

三つ目の原因は、公共財です。
公共財は市場を介して提供されるものではありません。
そのため、対価を払った人にだけ提供するということができないんです。
公共財が、市場の失敗につながる理由はここにあります。

情報の非対称性

四つ目の原因は、情報の非対称性です。

情報の非対称性というと難しく聞こえますが、要するに売り手と買い手が持っている情報にはもともと差があるということです。

企業が自社の製品の情報を、消費者よりも持っている。自分たちで作っている製品なんですから当たり前ですよね。

情報の非対称性がある場合、消費者は自分がほしい物を必ず手に入れられるわけではないんです。企業によって隠されている情報もありうるからです。その結果、市場の効率性が歪められてしまいます。

市場の失敗に対処するには


市場の失敗は、現在の社会であればいつでも起こりうることです。このような状況には、政府の積極的な介入が必要だと言われています。

独占・寡占市場に対しては、独占禁止法が対処法の一つです。外部不経済には公害規制環境保全政策が必要です。

公共財の不足には、政府自身による財の供給を増やします。
情報の非対称性に関しては、開示命令などの処置が必要です。

おわりに

市場は万能ではないということがおわかりになりましたか。それらには政府による介入が重要な役割を果たすんですね。
ただし、行き過ぎた政府の介入は望ましいものではありません。その時々の経済や社会の状況を考慮して、バランスのとれた政策を行うことが重要ということです。

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