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『近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに古思ほゆ』 現代語訳と解説
著作名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、万葉集に詠まれている「近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに古思ほゆ」という歌について説明していきます。ちなみに万葉集の266首目の歌です。

原文

近江の海 夕波千鳥が鳴けば 心もしのに古思ほゆ
(あふみのうみ、ゆふなみちどりながなけば、こころもしのにいにしへおもほゆ)

現代語訳

近江の海(琵琶湖)の夕方にたつ波の上を飛ぶ千鳥たちよ、お前が鳴くと私の心はしょぼんとして昔のことを思い出してしまうよ。

解説

この句は、柿本人麻呂によって詠まれた句です。柿本人麻呂は飛鳥時代の歌人で、山部赤人とともに歌聖と呼ばれています。

出だしの「近江の海、夕波千鳥」というたった8文字で、「夕焼け空の下に波が立っている湖のほとりで、鳥が鳴いている」というイメージを読み手は想像することができます。また、「お前の泣き声を聞くことで古のことを思う」と人麻呂は詠んでいますので、鳥たちが楽しく遊んでいる様ではなく、哀愁ただよう鳴き方をしているということも安易に想像することができます。このテクニックが柿本人麻呂が歌聖として称賛された理由でしょう。


単語

【近江の海】
諸説あるようですが、近江の湖とは琵琶湖のことを指していると言われています。「近江=淡海」をかけているとも考えられます。

【汝】
「汝」は千鳥を指しています。

【しのに】
「しのに」は「心がしおれる様」を意味する言葉です。ここでは現代っぽく"しょぼんとして"と訳しました。

【古】
飛鳥時代には、大化の改新で活躍した天智天皇(中大兄皇子)が近江に都(近江宮)を築きました。この天智天皇の活躍した時代のことを「古」として思っています。

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